SkillogyQiitaを読む
コラム一覧に戻る

BIツール比較|Looker Studio(Data Studio)・Power BI・Tableauの違いと選び方

社内のデータをグラフやダッシュボードで見られるようにしたいと考えたとき、候補に挙がりやすいのが、Googleの無料のBIツール(旧称Looker Studio、2026年4月からData Studio)、MicrosoftのPower BI、SalesforceのTableauです。いずれも広く使われている製品で、どれを選んでも基本的なグラフやダッシュボードは作れます。

それでも選び方に迷うのは、違いが「できること」よりも、料金の課金単位、既存のシステムとの相性、作る人と見る人の人数構成、社内の運用体制といった条件によって効いてくるためです。機能の比較表だけで選ぶと、導入後に「閲覧者全員分のライセンスが必要だった」「作れる人が一人しかいない」といった問題に気づくことになります。

また、BIツールの導入でつまずく原因は、ツールそのものよりも、元になるデータが整っていないことにある場合が多くあります。ツールを比較する前に、何を見たいのか、データはどこにあるのかを整理しておくことで、選ぶべきツールも自然と絞り込めます。

この記事では、3つのBIツールの基本的な違い、2026年10月時点の公式情報にもとづく料金体系、機能と運用面の違い、自社に合うツールの選び方、導入で失敗しないための進め方を解説します。

3つのBIツールの位置づけの違い

3つのBIツールの位置づけの違い

まず、3つのツールがそれぞれどのような立ち位置の製品なのかを整理します。なお、Googleは2026年4月16日に、Looker StudioをData Studioへ名称変更したことを公式のリリースノートで告知しています。日本語の製品ページでは「データポータル」と表記されています。既存のレポートはそのまま使え、有料版のLooker Studio ProもData Studio Proになりました。この記事では以下、Data Studioと表記します。

製品 提供元 主な特徴
Data Studio(旧Looker Studio) Google ブラウザだけで使える無料のレポート作成ツール。Googleスプレッドシート、Google広告、Googleアナリティクス、BigQueryなどGoogleのサービスとの接続が容易
Power BI Microsoft Windows向けの無料アプリPower BI Desktopでレポートを作り、クラウドのPower BIサービスで共有する。Excel、Microsoft 365、Azureとの相性がよい
Tableau Salesforce 視覚的な分析の表現力に定評がある。クラウド版のTableau Cloudと、自社で運用するTableau Serverがある。作成者・探索者・閲覧者の役割ごとにライセンスが分かれる

大づかみにいえば、Data Studioは「Googleのデータを手軽に見える化する」用途、Power BIは「Microsoft製品を中心に業務データを組織で共有する」用途、Tableauは「分析者が自由に深掘りし、全社に分析を展開する」用途に強みがあります。ただし、これは得意分野の話で、どのツールも他の用途に使えないわけではありません。

参考:Data Studio release notes/Google Cloud

参考:データポータル/Google Cloud

料金体系の違い(2026年10月時点)

料金体系の違い(2026年10月時点)

料金は、各社の公式ページで2026年10月時点に確認できた内容です。価格は改定されることがあり、契約形態や為替、販売代理店によっても変わるため、導入前に必ず最新の公式情報を確認してください。

製品・プラン 公式ページに記載の料金 補足
Data Studio 無料 レポートの作成者も閲覧者も無料で利用できる
Data Studio Pro プロジェクトごとのユーザー1人あたり月額9ドル チームでのコンテンツ管理、Google Cloudのサポート、顧客管理の暗号鍵などの管理機能が加わる
Power BI(無料ライセンス) 無料 自分で使うレポートは作れるが、共有や共同作業の機能は使えない
Power BI Pro ユーザーあたり月2,098円相当(年払い、税別) Proユーザー同士でコンテンツを共有、共同作業できる
Power BI Premium Per User ユーザーあたり月3,598円相当(年払い、税別) Proの機能に加え、Premium容量の機能の多くを利用できる
Tableau Cloud Standard Creator 75ドル、Explorer 42ドル、Viewer 15ドル(いずれもユーザーあたり月額、年間契約) 導入ごとに少なくとも1つのCreatorライセンスが必要
Tableau Cloud Enterprise Creator 115ドル、Explorer 70ドル、Viewer 35ドル(いずれもユーザーあたり月額、年間契約) データ管理や高度な管理機能が加わる

注意したいのは、料金の差が「閲覧者の人数」によって大きく開く点です。Power BIでは、無料ライセンスのユーザーは原則として他の人が作ったコンテンツを見られず、共有を受けるには閲覧者もProなどの有料ライセンスが必要です。例外として、コンテンツがPremium容量やFabricのF64以上の容量に置かれている場合は、無料ライセンスのユーザーにも配布できます。Tableauも閲覧者ごとにViewerライセンスが必要です(大人数向けには容量ベースの価格体系もあり、営業窓口への問い合わせになります)。Data Studioは閲覧者が増えても無料ですが、BigQueryなど従量課金のデータソースにつないでいる場合は、閲覧のたびに発行されるクエリの費用がデータソース側で発生します。

費用を比較するときは、「レポートを作る人」と「見るだけの人」の人数を分けて数え、それぞれのツールで年間の総額を試算することをおすすめします。

人数構成による試算の例

たとえば、レポートを作る人が3人、見るだけの人が30人という会社で、上の表の料金をそのまま当てはめると、ライセンス費用の月額は次のようになります。税金や為替、割引、容量ベースの契約は考慮していない単純な計算です。

ツール 計算 月額の目安
Data Studio(無料版) 作成者・閲覧者とも無料 0円(データソース側の費用は別)
Power BI Pro 33人×2,098円 69,234円(税別)
Tableau Cloud Standard Creator 3人×75ドル+Viewer 30人×15ドル 675ドル

閲覧者が30人から100人に増えると、Power BIとTableauの費用はおおむね閲覧者の人数に比例して増えます。一方で、Data Studioはツールの費用こそかかりませんが、管理機能やサポートが必要になればProの契約が必要になり、データソース側の費用も閲覧の量に応じて増えます。人数の多い会社ほど、この試算を早い段階で行う意味があります。

参考:Power BIの価格/Microsoft

参考:Tableau Cloudの価格/Tableau

機能と運用面の違い

機能と運用面の違い

料金以外で差が出やすいのは、作成環境、データの扱い方、管理機能の3点です。

観点 Data Studio Power BI Tableau
作成環境 ブラウザのみ。MacでもWindowsでも同じように使える 本格的な作成はWindows用のPower BI Desktopが中心。Macでは仮想環境などが必要 Tableau DesktopとWebでの作成の両方。Creatorライセンスで利用できる
データの加工 簡単な計算や結合はできるが、複雑な加工はデータソース側で行う前提 Power Queryによる加工と、データモデルの設計機能が充実している Tableau Prep Builderによるデータ準備の機能がある
習得の難しさ 入門しやすい。凝ったレポートほど工夫が必要 Excelに慣れた人は入りやすいが、データモデルや計算式の理解が必要 操作は直感的だが、表現力を引き出すには学習が必要
組織での管理 無料版はGoogleアカウント単位の共有が基本。チームでの管理はPro向け ワークスペースやMicrosoft Entra IDとの連携による権限管理 サイト、プロジェクト単位の権限管理。上位エディションで管理機能が加わる

社内のPCがMac中心であればPower BIの作成環境は制約になりますし、Windows中心でMicrosoft 365を全社で使っているなら、アカウント管理や権限の面でPower BIが自然な選択になります。また、データの加工をBIツールの中で行う設計にすると、ツールを乗り換えるときに加工の処理も作り直しになります。複数のツールで同じ指標を使う可能性があるなら、加工はデータウェアハウスなどBIツールの手前で行い、BIツールは表示に専念させる構成が安全です。

参考:Power BI Desktopのダウンロード/Microsoft

自社に合うBIツールの選び方

自社に合うBIツールの選び方

ここまでの違いを踏まえると、選び方の基準は次のように整理できます。

自社の状況 第一候補 理由
Googleアナリティクスや広告、スプレッドシートのデータを、まず無料で見える化したい Data Studio 接続が容易で、閲覧者が増えてもツールの費用がかからない
Microsoft 365を全社で使い、Excelで集計している業務データを共有したい Power BI アカウントと権限の管理をMicrosoftの環境にまとめられ、Excelからの移行もしやすい
分析担当者が複数いて、データを自由に深掘りし、その結果を全社に展開したい Tableau 役割別のライセンスで、作る人・探索する人・見る人を分けて運用できる
閲覧者が数百人規模になる 容量ベースの契約を含めて比較 ユーザー単位の課金では総額が大きくなるため、容量ベースの契約や無料ツールとの併用を検討する
社外の顧客に自社サービスの画面としてダッシュボードを見せたい 埋め込み用途の契約を個別に確認 社内利用とは別の契約形態が必要になることが多い

迷った場合は、まず既存の契約とアカウント基盤に合わせるのが無難です。Googleのアカウントで業務をしている会社がPower BIを入れると、アカウント管理が二重になり、退職者のアクセス権の削除漏れなどの運用リスクが増えます。機能面の差よりも、こうした日常の運用のしやすさのほうが、長く使ううえでは効いてきます。

導入で失敗しないための進め方

導入で失敗しないための進め方

BIツールの導入でよくある失敗は、ツールを契約してから「何を見るか」を考え始めることです。作られたダッシュボードが誰にも見られず、Excelでの集計が並行して続く状態になりがちです。進め方の順番は次のとおりです。

  • 見たい指標と、その指標を見て下す判断、見る人と頻度を決める
  • 指標の元になるデータの所在と、表記揺れや欠損などの品質を確認する
  • 無料版や試用期間を使い、実際のデータで1つのダッシュボードを作ってみる
  • 利用者に見てもらい、既存のExcel集計と数字が一致するかを確認する
  • 作る人と見る人の人数を確定し、年間の費用を試算してから本契約する

この中で時間がかかるのは、2番目のデータの確認と整備です。部署ごとに商品分類が違う、顧客コードが統一されていないといった問題は、どのBIツールを選んでも解決しません。データが複数のシステムに散らばっている場合は、BIツールの選定と並行して、データを一か所に集めて整える仕組み(データ基盤)の整備を検討する必要があります。

また、既存のBIツールや自社サービスに、自然言語での問い合わせや要約といったAI機能を加えたいという要望も増えています。当社では運営中のBIツールにAI機能を追加する案件で、要望の仕様化からPoC・モックアップ、実装、リリースまでを約7ヶ月で進めました。こうした機能も、元のデータと指標の定義が整っていることが前提になります。

まとめ

まとめ

Data Studio(旧Looker Studio)は無料でGoogleのデータを手軽に見える化したい場合、Power BIはMicrosoft 365を中心に業務データを組織で共有したい場合、Tableauは分析者が深掘りした結果を全社に展開したい場合に向いています。料金はユーザー単位の課金が中心で、特に閲覧者の人数によって総額が大きく変わるため、作る人と見る人を分けて試算することが欠かせません。

明日からできることとしては、BIツールで見たい指標を3つほど書き出し、それぞれ誰が何の判断に使うのか、元のデータはどこにあるのかを整理してみてください。あわせて、社内のアカウント基盤がGoogleかMicrosoftか、作る人と見る人がそれぞれ何人いるかを数えれば、3つのツールのどれを試すべきかはかなり絞り込めます。