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ローカルLLMとは?クラウド型生成AIとの違い・メリット・デメリット・導入方法を解説

生成AIの活用が広がる中で、「ローカルLLM」という言葉を見かける機会が増えています。ChatGPTのようなクラウド型生成AIを使うだけでなく、自社のPCや社内サーバーでLLMを動かしたいと考える企業もあります。

ローカルLLMとは、Large Language Model、つまり大規模言語モデルを、自社PC、社内サーバー、オンプレミス環境、エッジ環境などで動かす方法を指します。公的に厳密な固定定義がある用語というより、クラウドAPIだけに依存せず、自社が管理する環境で言語モデルを実行する考え方として使われることが多いです。

AWSはLLMについて、大量のデータで事前学習された非常に大きな深層学習モデルと説明しています。また、オンプレミスやエッジ環境で小規模言語モデルを動かす方法も紹介されています。本記事では、このような自社管理環境でLLMや小規模言語モデルを動かす方法を「ローカルLLM」として解説します。

ローカルLLMは、自社PCや社内サーバーなどで大規模言語モデルを動かす考え方です。

この記事では、「ローカルllm とは」で調べている方向けに、ローカルLLMの意味、クラウド型生成AIとの違い、メリット・デメリット、向いている活用例、導入時の注意点をわかりやすく解説します。

ローカルLLMとは

ローカルLLMとは

ローカルLLMとは、大規模言語モデルをインターネット上のクラウドサービスだけでなく、自社が管理する端末やサーバー上で動かす方法です。たとえば、社内PC、ワークステーション、社内サーバー、オンプレミス環境、エッジ環境などでAIモデルを実行します。

LLMは、大量のテキストデータをもとに学習し、文章の生成、要約、翻訳、質問応答、分類、コード生成などを行えるAIモデルです。クラウド型生成AIでは、ユーザーが入力した内容を外部サービスに送信し、クラウド上のモデルが回答を生成します。

一方、ローカルLLMでは、モデルの実行環境を自社側に置くため、入力した情報を外部サービスに送信せずに利用できる場合があります。機密情報や社内資料を扱う企業にとって、データ管理の面で検討されやすい方法です。

ローカルLLMとクラウド型生成AIの違い

ローカルLLMとクラウド型生成AIの違い

ローカルLLMとクラウド型生成AIの大きな違いは、AIモデルをどこで動かすかです。クラウド型は外部サービス上のモデルを利用し、ローカルLLMは自社のPCやサーバーなどでモデルを動かします。

項目 ローカルLLM クラウド型生成AI
実行場所 自社PC、社内サーバー、オンプレミス環境、エッジ環境など 外部のクラウドサービス
データ管理 自社環境内で管理しやすい 入力内容を外部サービスに送信する場合がある
導入のしやすさ 環境構築やモデル管理が必要 アカウント作成後すぐ使いやすい
性能 利用するPC、GPU、メモリ、モデルサイズに左右される 高性能なモデルを利用しやすい
費用 初期費用、ハードウェア費用、運用保守費用が発生しやすい 月額料金や従量課金が中心
向いている用途 機密情報を扱う社内利用、オフライン利用、社内文書検索 高性能な文章生成、幅広い業務利用、素早い導入

クラウド型生成AIは、導入しやすく高性能なモデルを利用しやすい点がメリットです。一方、ローカルLLMは、自社環境でデータを扱いやすい点や、用途に合わせてモデルを選びやすい点がメリットです。

ローカルLLMが注目される理由

ローカルLLMが注目される理由

ローカルLLMが注目される理由のひとつは、機密情報や社内データを扱いやすいことです。企業では、顧客情報、契約書、議事録、社内マニュアル、技術資料など、外部サービスに入力しにくい情報を扱う場面があります。

クラウド型生成AIでは、利用規約や設定によってデータの扱いが異なります。そのため、機密情報を入力してよいか不安が残る場合があります。ローカルLLMであれば、自社管理の環境内で処理できるため、情報管理の方針を設計しやすくなります。

また、ローカルLLMはオフライン環境や閉域網での利用にも向いています。インターネット接続が制限される現場や、外部接続を避けたい業務では、ローカル環境で動かせることがメリットになります。

ローカルLLMのメリット

ローカルLLMのメリット

機密情報を扱いやすい

ローカルLLMの大きなメリットは、入力データを自社環境内で扱いやすいことです。顧客情報、契約書、社内資料、開発資料など、外部サービスに送信しにくい情報を使ったAI活用を検討しやすくなります。

ただし、ローカルLLMであっても情報漏えいリスクがゼロになるわけではありません。端末やサーバーのアクセス権限、ログ管理、モデルファイルの管理、ネットワーク設定などを適切に行う必要があります。

オフラインでも使える場合がある

ローカルLLMは、モデルや実行環境を端末側に用意しておけば、インターネット接続がない環境でも使える場合があります。工場、研究施設、医療・介護施設、閉域網の業務環境など、外部接続を制限したい場面で役立ちます。

用途に合わせてモデルを選びやすい

ローカルLLMでは、用途に合わせてモデルを選ぶことができます。文章生成に強いモデル、コード生成に強いモデル、日本語に強いモデル、小型で軽量なモデルなど、業務内容に合わせて選択できます。

また、社内文書検索やFAQ回答のような用途では、RAGと呼ばれる仕組みを組み合わせることがあります。RAGは、関連するデータソースから情報を取得し、その情報をもとに生成AIの回答精度や信頼性を高める技術です。

長期的な利用コストを管理しやすい

クラウド型生成AIは、利用人数や利用回数が増えるほど月額費用や従量課金が増える場合があります。ローカルLLMでは、初期構築やハードウェア費用はかかりますが、利用量が多い場合は長期的なコストを管理しやすくなる可能性があります。

ただし、ローカルLLMでもサーバー費用、電気代、保守費用、担当者の運用工数は発生します。費用を比較するときは、月額料金だけでなく、運用全体のコストで判断しましょう。

ローカルLLMのデメリット

ローカルLLMのデメリット

環境構築に知識が必要

ローカルLLMを使うには、モデルの選定、実行環境の準備、PCやサーバーのスペック確認、セキュリティ設定などが必要です。クラウド型生成AIのように、アカウントを作ればすぐ使えるわけではありません。

高性能なPCやGPUが必要になる場合がある

LLMはモデルサイズが大きくなるほど、必要なメモリや計算資源も増えます。軽量モデルであれば一般的なPCで動く場合もありますが、大きなモデルや高速な回答を求める場合は、GPUを搭載したPCやサーバーが必要になることがあります。

クラウド型より回答性能が低い場合がある

ローカルで動かせるモデルは、クラウド上の大規模モデルよりも性能が低い場合があります。特に、高度な推論、長文の理解、複雑な文章作成、多言語対応では、クラウド型の高性能モデルの方が向いているケースもあります。

運用・保守の負担が発生する

ローカルLLMは、導入後もモデル更新、セキュリティ対応、ログ管理、バックアップ、ユーザー管理などが必要です。担当者を決めずに導入すると、誰も管理できず使われなくなる可能性があります。

ローカルLLMが向いている活用例

ローカルLLMが向いている活用例

ローカルLLMは、外部に出しにくい社内情報を扱う業務や、オフライン環境で使いたい業務に向いています。

  • 社内マニュアルや規程の検索
  • 契約書や議事録の要約
  • 社内FAQの自動回答
  • 研究資料や技術文書の検索
  • 問い合わせ履歴の分類
  • 閉域網での業務支援
  • 顧客情報を含む文書の整理

たとえば、社内マニュアルをローカル環境に保存し、RAGを組み合わせることで、従業員が自然文で質問し、関連する社内文書をもとに回答を得る仕組みを作れます。

ローカルLLMを導入する流れ

ローカルLLMを導入する流れ

ローカルLLMを導入する場合は、いきなり全社展開するのではなく、小さな用途から試すことが大切です。

  • 利用目的を決める
  • 扱うデータの種類を整理する
  • クラウド型とローカル型のどちらが適しているか比較する
  • 必要なPC・サーバー・GPU・メモリを確認する
  • 利用するモデルを選ぶ
  • 小さな業務で試験導入する
  • 回答精度、速度、運用負担を確認する
  • 必要に応じてRAGや社内文書検索を組み合わせる
  • 運用ルールとセキュリティルールを整備する

最初は、社内FAQ、議事録要約、マニュアル検索など、効果を測りやすい用途から試すと導入しやすくなります。

ローカルLLM導入時の注意点

ローカルLLM導入時の注意点

ローカルLLMは、データを自社環境で扱いやすい一方で、管理を誤るとセキュリティリスクが発生します。特に、外部からアクセスできる状態で放置しないこと、認証やアクセス制御を設定すること、ログや利用履歴を適切に管理することが重要です。

また、AIの回答は必ず正しいとは限りません。社内文書を参照する仕組みを作っても、誤った要約や不正確な回答が出る可能性があります。重要な判断、顧客への回答、契約や法務に関わる内容は、人が確認する体制を整えましょう。

NISTのAI Risk Management Frameworkでは、AIに関するリスクを個人、組織、社会に対して管理する考え方が示されています。ローカルLLMを導入する場合も、性能だけでなく、安全性、プライバシー、運用責任を考えることが大切です。

ローカルLLMとRAGの関係

ローカルLLMとRAGの関係

ローカルLLMを企業で活用する場合、RAGと組み合わせるケースがあります。RAGとは、Retrieval-Augmented Generationの略で、関連するデータソースから取得した情報を使い、生成AIの回答精度や信頼性を高める技術です。

NVIDIAはRAGについて、特定の関連データソースから取得した情報により、生成AIモデルの正確性と信頼性を高める技術と説明しています。ローカルLLMでも、社内文書やFAQ、マニュアルを参照させることで、社内業務に合った回答を作りやすくなります。

ただし、RAGを使っても誤回答が完全になくなるわけではありません。検索対象の文書を整理し、古い情報や誤った情報を含めないように管理することが重要です。

よくある質問

ローカルLLMとは簡単にいうと何ですか?

ローカルLLMとは、大規模言語モデルを自社PCや社内サーバーなど、自社が管理する環境で動かす仕組みです。外部のクラウドサービスに毎回アクセスせずに使える点が特徴です。

ローカルLLMはインターネットなしで使えますか?

モデルや実行環境を事前に用意していれば、インターネットなしで使える場合があります。ただし、モデルのダウンロード、更新、社内文書との連携などにはネットワークが必要になることがあります。

ローカルLLMはクラウド型より安全ですか?

入力データを自社環境内で扱いやすい点はメリットですが、必ず安全とは限りません。アクセス制御、認証、ログ管理、ネットワーク設定、端末管理などが不十分だと、ローカル環境でも情報漏えいリスクがあります。

中小企業でもローカルLLMを導入できますか?

導入できます。ただし、いきなり大規模な環境を作る必要はありません。まずは社内FAQやマニュアル検索など、小さな用途から試し、クラウド型生成AIと比較しながら判断するとよいでしょう。

まとめ:ローカルLLMとは自社環境でLLMを動かす仕組み

まとめ:ローカルLLMとは自社環境でLLMを動かす仕組み

ローカルLLMとは、大規模言語モデルを自社PC、社内サーバー、オンプレミス環境、エッジ環境などで動かす考え方です。クラウド型生成AIと比べて、データを自社環境で扱いやすく、オフライン利用や社内文書検索に向いています。

一方で、ローカルLLMには環境構築、ハードウェア、モデル管理、セキュリティ、運用保守の負担があります。クラウド型生成AIより必ず優れているわけではなく、用途によって使い分けることが大切です。

まずは、社内FAQ、議事録要約、マニュアル検索、契約書の要約など、小さな用途から試しましょう。自社の情報管理方針や業務課題に合えば、ローカルLLMは社内AI活用を進める有効な選択肢になります。

参考情報