開発会社に作ってもらったシステムのソースコードは、自社のものになるのでしょうか? 将来、別の会社に保守を頼めるのか心配です。
契約で決めていなければ、ソースコードの著作権は原則として作った開発会社に残ります。別の会社に保守を頼みたいなら、権利と納品物の扱いを契約で決めておく必要があります。
開発費を払ったからといって、ソースコードの著作権が自動的に発注側へ移るわけではありません。著作権は作った側に発生し、契約で譲渡を定めない限り、開発会社に残ります。ただし、著作権を譲り受けていなくても、契約で利用や改変が認められていれば、他社に保守を頼めることもあります。大切なのは、権利の名目よりも、自社で何ができるかが契約に書かれているかどうかです。
譲渡を定める場合に見落とされやすいのが、改変する権利です。著作権を譲渡する契約でも、翻案(改変)などの権利が譲渡の対象として明記されていないと、譲渡した側に残ると推定されます(著作権法第61条第2項)。保守や機能の追加はソースコードの改変そのものなので、ここが抜けていると目的を果たせません。
権利とは別に、実際にソースコードを受け取れるかどうかも確認が必要です。権利が自社にあっても、ソースコード一式、サーバーやクラウドの管理権限、設計資料が手元になければ、他社には引き継げません。納品物に何が含まれるかも、契約で決めておきます。
後から困る主な原因
- 契約書に、著作権の帰属や譲渡についての定めがない。
- 譲渡は定めているが、改変(翻案)の権利が明記されていない。
- 納品物に、ソースコードや設計資料が含まれていない。
- サーバーやクラウドのアカウントが、開発会社の名義になっている。
- 開発会社が以前から持っている部品やライブラリの扱いが決まっておらず、どこまで使えるのかが曖昧。
最初に確認すること
手元の契約書で、著作権・納品物・知的財産といった見出しの条項を探して読みます。すでに開発が終わっている場合でも、利用や改変をどこまで認めるかを、あとから覚書で取り決めることはできます。条項の解釈に迷う場合は、弁護士への確認をおすすめします。
- 著作権の帰属と、譲渡の有無・時期(検収時か、支払いの完了時か)
- 改変(翻案)の権利が、譲渡や利用許諾の対象に含まれているか
- 納品物に、ソースコード・設計資料・動かすための手順が含まれるか
- サーバー・クラウド・ドメインの契約名義
- 開発会社が以前から持っている部品やライブラリの扱い
改善の方向性
- これから発注する場合は、著作権を譲渡するのか、利用と改変を許諾するのかを契約で明記する。
- 譲渡する場合は、改変(翻案)の権利も対象に含むことを明記する。
- 納品物に、ソースコード一式と動かすための手順を含める。
- サーバーやクラウドのアカウントは、発注側の名義で作る。
他社が作ったシステムの保守を引き継げるかどうかは、ソースコードと契約の内容を拝見して確認するところからご相談いただけます。契約条項の法的な解釈については、弁護士にご確認ください。
